電波ヒーロー


『―――ゲストは、俳優の秋月伶さんです。』


お昼休みの終わりも近付いていたので、少し早歩きで、先程買った本を片手に病院へ戻っていた、そんなときだった。

街角にある、大きなビジョンから聞こえた声に、思わず立ち止まった。




『こんにちは』


どくん、と心臓が波打つのがわかった。


…この声、忘れるはずが、ない。

体は、正直だ。

頭は、今から起こるであろう現実を、拒否している。


……何かの、間違いだと。


< 83 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop