電波ヒーロー
『―――ゲストは、俳優の秋月伶さんです。』
お昼休みの終わりも近付いていたので、少し早歩きで、先程買った本を片手に病院へ戻っていた、そんなときだった。
街角にある、大きなビジョンから聞こえた声に、思わず立ち止まった。
『こんにちは』
どくん、と心臓が波打つのがわかった。
…この声、忘れるはずが、ない。
体は、正直だ。
頭は、今から起こるであろう現実を、拒否している。
……何かの、間違いだと。