電波ヒーロー
…何が、大丈夫なんだろう。
私は、何をこんなに焦っているの?
『秋月さんは、今は知らない人はいないというくらい、若い世代を中心に人気爆発中の俳優で…。ほんとに男前ですよね!』
『そんなことないですよ、でもありがとうございます』
冷静に考えてみたら、気付かない方がヘンだったのかもしれない。
…あんなにかっこいい人が、一般人なんて、おかしすぎる話だった。
私は、画面を見上げたまま、固まった。
いや、動けなかった。
頭を何かで殴られたような、衝撃だった。
隣に住む『伶さん』が、芸能人の『秋月伶』だったなんて。