Bitter&Sweet
「離してよっ」
「嫌だ」
グイッ
私の手首を引いて
お兄ちゃんは私を抱きしめた
きつく きつく 抱きしめた
「―――――――………っ」
心臓は もう爆発寸前
顔も耳も首も すごく熱い
すっぽりお兄ちゃんの身体に包みこまれて
息が出来なくなるくらい
胸が詰まった―――――――
「本当にごめんなさい、姫」
ギュッと
抱きしめる腕に力を入れて
お兄ちゃんは真剣に私に謝った
「美紅さんと会う事、断りきれなくて
姫に隠れて見合いして
本当にごめんなさい」
美紅さんは院長のお嬢さん
簡単に断れない事は
私にも わかる………
「結婚……しちゃうの?
お兄ちゃん」
お兄ちゃんは
私の頭に頬ずりをして
優しい甘い甘い声で
「しないよ。結婚なんてしない
それは本当に美紅さんにも
はっきり言ってある」
後ろ頭を包むように撫でる
お兄ちゃんの大きな手のひら
しっかり背中に回された腕
頭のてっぺんに触れる頬に
胸はキュウ…ってなって
身体は
しびれたみたいに力が抜けて
…………好き
お兄ちゃんが好き
大好き
どうしようもない気持ちに
クラクラした―――――――