Bitter&Sweet
家に帰って
とりあえず姫をソファーに座らせ
温かいココアを出した
「ちょっと待っててね、姫
今、おばさんに電話……」
オレの言葉に
「お兄ちゃん」
「……なに?」
「私ね………あの…ね……」
困ったように うつむく姫
オレは姫の隣に座って
「ゆっくりで大丈夫だよ」
膝の上にある姫の手を握った
姫もギュッとオレの手を握り返して
「一緒に………いたい」
「え?」
「私は……お兄ちゃんと…
一緒にいたいの」
遠慮がちにオレの目を見て
「………ダメ?」
ダメなわけないよ、姫
オレだって、ずっと一緒にいたい
「………姫
ここで、また一緒に暮らす?」
胸が 高鳴る
「もう一度
ここから二人で始める?」
オレの言葉の意味は
きっと わからないよね
…………それでも
「うん!」
姫が笑ってうなずいた
その瞬間
オレは姫をきつく抱きしめた
「……ありがとう、姫」
記憶を無くしても
もう一度 オレを選んでくれた
「姫。ありがとう」
大丈夫。
姫がもうオレを愛してなくても
もう これで 充分幸せだから