Bitter&Sweet

南サイド




「あの、お兄ちゃん」


ダイニングテーブルで朝食をとってる時


「今日の夜、遅くなるから」


私がそう言うと


マグカップに伸ばしかけた手を止めて


「遅くなるってどうして?」


お兄ちゃんは私の目を真っ直ぐ見つめた


――――ドキッ


顔が熱くなって視線を逸らす


「友達とね、ご飯食べに行く約束したの」


美紅さんが来た日


お兄ちゃんに抱きしめられてから


まともにお兄ちゃんの顔が見られないよ


恥ずかしくて……



「友達って?」



「大学の時の
久しぶりに会おうって」



ホントは雅哉さんだけど


変な心配かけたくないっていうか


お兄ちゃんには知られたくないっていうか



「大学の時か………」


そう呟いたお兄ちゃん


きっと看護大学の友達=女の子って思ったんだろうな



「うん。わかったよ
ただ、あまり遅くならないように」



「はい」


「帰りは連絡しな。
車で迎えに行くよ」


「あ、いいよ。大丈夫。
タクシー乗るから」


私が手を横に振って遠慮すると


お兄ちゃんは少し不機嫌そうに


「そのタクシーだって安心出来ないよ」と呟いた



相変わらず心配性だな


そう思い苦笑いをした



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