Bitter&Sweet
*雅哉目線*
「……松雪さん?」
たった3杯カルアミルクを飲んだだけなのに
松雪さんは すっかり酔って
ダイニングバーを出た時には
フラフラで立つのも やっとな状態だった
彼女の肩を抱いて
「松雪さん、歩けますか?」
そう訊くと
「へぇ。らいろーぶれしゅよ」
全然、大丈夫じゃない答えが返ってきて
とりあえず、今 出て来た店の近くの公園のベンチまで
ほとんど抱っこするような形で連れて行った
見た目通りの細く薄い肩が
頼りなく感じて
ドキドキした
松雪さんをベンチに座らせ
近くの自販機で水を買い
松雪さんに渡した
何も言わずに受け取って
2口くらい飲んで
ペットボトルをオレに返した
水で濡れた松雪さんの唇が
街灯の明かりで光って綺麗で
隣に座る松雪さんの肩をギュッと抱きしめた
全身の力を抜いて
オレに寄りかかる
女の子の心地よい重みや
身体の柔らかさが
懐かしいような
楽の母親と別れてから
女の子と二人で飲んだのは
初めてだったし――――――