Bitter&Sweet
きっとシスコン兄貴に
恋に恋しちゃった妹なんだろ
そう思ってると
松雪さんの哀しげな表情が
みるみるうちに
怒りの表情に変わって
…………え?
と感じた瞬間
「なぁに言っちゃてんれしゅか!」
バッとベンチから立ち上がり
オレに人差し指を突き出して
「恋を知らないらとぉ~?
これが恋じゃないらとぉ?
だったら、なんでワラシは…こんなに苦しいんれしゅか?」
あまりの剣幕に
呆気にとられてると
「しょ~やってバカにして……
ワラシは、いちゅだって本気らのに
おにいたんが、らいしゅきらのに」
「ま、松雪さん?落ち着いて」
なんとか なだめようとしたら
「おにいたんが好きなのに……」
松雪さんは その一言を呟き
フラァっと後ろに倒れて行って
「わっ!松雪さん危ない!」
地面に頭をぶつける前に
なんとか抱き留めたけど
「ふぅ~~~」焦って
息をつくと
オレの腕の中
「スゥ~ピィ~
グゴゴゴゴ…………」
松雪さんは寝息をたてて
オレの狼の耳としっぽは
いつの間にか
引っ込んで消えてしまった