Bitter&Sweet
公園の前、車を停めて
バァンと乱暴にドアを閉め
走り出す
公園の奥のベンチ
見たことのない男に肩を抱かれて眠る姫が
すぐ目に入った
「オレの姫に何やってんだよ!」
男の腕から奪いとるように
乱暴に姫を抱き抱えた
腕の中の姫は グニャリと力を抜いて眠っていて
――――――酒、飲んだのか
「あ、あの。すみません」
男がベンチから立ち上がり
オレに頭を下げ
「私、鴨居と申します。
今日は、南さんと食事をしてたのですが
南さん、少し飲んだら酔って眠ってしまって……」
男の顔を声を聞いたら
ますます イラッとくる
オレの姫の寝顔を見やがって
オレがケータイにかけなかったら
この男、姫をどうするつもりだったのか
酔って眠った姫を見て
どこかに連れこもうと
そう思ったんじゃないのか?
何より
一瞬だって
オレの姫に対して
そういう想像をしたんじゃないか
目の前の男が
姫を抱きたいと
姫の身体を
想像したんじゃないか
そう思うと
身体中の血が頭に上って
今、姫を抱っこしてなかったら
間違いない
この男を殴ってる