Bitter＆Sweet
家に着いて
オレのベッドに姫を寝かせた
シーツの上に置かれた指先が冷たかったから
両手で包み込み口をつけて
はぁ～～～～って
温かい吐息をかけた
小さな丸い爪
細い指先
姫の全ては
オレのモノだったのに
ここに眠る姫は
姫だけど
もうオレの姫ではない
姫が「好きな人ができた」
そうオレに言えば
オレは「そう。良かったね」
と答えて
手を離してあげなきゃいけない
ギュッときつく姫の手を握りしめ、頬にあてる
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ
姫のことを こんなに愛せるのは
この世にオレしかいないのに
「――――なんで、オレは
『お兄ちゃん』なんだよっ……」
なんで こんな どうしようもない宿命に今さら、腹をたてなければ いけないのか
姫が好きだという想いが
どうして こんなにオレを
苦しめるのか
何も知らない姫を
縛りつけるのか
ぐっすり深く眠る姫の寝息だけが聞こえる
出口のない暗闇の中で
１人きり
胸の痛みに打ちのめされながら
いつまでも途方に暮れた
