Bitter&Sweet
「あ、あの、お兄ちゃん……」
口を開くと、遮るように
「遅いし、心配してケータイかけたら男が出て
姫が酔って寝てるって言ったから、オレが迎えに行ったんだよ」
お兄ちゃんは
淡々とした口調で話し
「お兄ちゃん…あの雅哉さんはね」
雅哉さんとは何でもないんだよ
訊かれてもいないのに
そう言おうとしたら
「さ、もう起きて
出勤の準備しないとね」
ガバッとお兄ちゃんはベッドから起き上がり
クローゼットを開けた
私もベッドから出てクローゼットの前に立つお兄ちゃんの隣に並ぶ
昨日の服のままでスカートがしわくちゃになってた
「ね、お兄ちゃん………」
どうしても、雅哉さんとは何でもないって言わないといけない気がして
お兄ちゃんのパジャマの袖口を掴み話しかけるけど
私の手をゆっくり振りほどき
「話があるなら
今度にしてくれる?
早く支度しないと遅刻するから」
私の横を通り抜けた
お兄ちゃんの肩からは
明らかに私を拒絶する
空気が出ていた