Bitter&Sweet



眠っているお兄ちゃんに


声をかけられるわけがなくて


しばらく ただ黙って


立ち尽くしてた



呼吸の度に上下する肩や
広い背中をじっと見てると



すごく、とても すごく
寂しくなって
苦しくなって


お布団をめくり
ベッドに肩膝ついて
もぞもぞと もぐり込んだ



お兄ちゃんの体温で暖められたベッドの中



広い背中に
おでこをそっと付けると





「どうしましたか?
お姫さま」





「………起きてたの?」



「……姫が入って来て
目が覚めた」



あんなに静かに入ったのにな




お兄ちゃんが こちらを振り返りそうになったから



「―――――――ダメ
…お願い、お兄ちゃん。
こっち見ないで…………」



ギュッとパジャマの背中を
握りしめ
顔を埋めてお願いした



今、お兄ちゃんの顔を見たら


優しく触れられたなら


私の気持ちは溢れてしまう



「お願い、こっち見ないで」



「………………」



少し、こちらを向きかけた肩をピタッと止めて



また、お兄ちゃんは
元の体勢に戻った




私はお兄ちゃんの背中に鼻を押し付けるように


強く顔を埋めて目を閉じた



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