Bitter&Sweet
「昨日はごめんなさい」
小さな声で謝ると
「何が『ごめんなさい』なのか
わからないよ、姫」
お兄ちゃんの声は
私以上に静かだった
「男の人と会った事」
「そんなの姫の自由だよ?」
「お酒、飲んだ事」
「…うん。まぁ、それはね
もう少し気をつけてほしいけど
姫が…あの人を信用してるなら
それもまた、姫の自由だよ」
「雅哉さんは、ただの知り合いってだけだから」
「……………」
「信用してる男の人なんか私にはいないよ」
「――――――だったら」
急に お兄ちゃんの声は低くなり
いきなり、こっちを振り返り
私をにらみつけて
「このバカ!!!!」
おもいっきり怒鳴り付けた
「……お兄ちゃん?」
「男に会うななんて
そんな事を言う権利は
オレにないよ
だけどな
自分の事を自分で守れない姫に
自由なんてやれないぞ」
「……はい」
「男と二人きりで会って酔って眠ったら
どうなるか考えてないのか?
信用してない ただの知り合いに……そんな事があったら
傷つくのは姫だぞ?」
お兄ちゃんはものすごい剣幕で
私の目をにらみつけて
怒るから
私は本当にお兄ちゃんに大切に思われてるんだって
改めて感じる