Bitter&Sweet
ベッドの中、向き合って
しばらく黙って見つめ合う
シーツの上に置かれた私の手を
お兄ちゃんが そっと握った
お兄ちゃんが私に触れると
ドキドキしてギュッと苦しくて
だけど嬉しくて安心する
「ねぇ、お兄ちゃん」
「………ん?」
「お兄ちゃんも狼なの?」
「え?」
「男はみんな狼なんでしょ?
お兄ちゃんも狼なの?」
「あぁ」
お兄ちゃんは少し困ったように「ハハッ」て笑って
「オレはね、1番危険な狼だよ?」
からかうような笑みを浮かべ、私の目をのぞき込んだ
「え~?お兄ちゃんそんなに外で女の子を襲ってんのぉ?」
私が非難するように言うと
「違うよ。外で じゃなく
姫の前でだよ」
「私?」
「そう」
お兄ちゃんは少し目を細めて
「姫がベッドで寝てると思ったのはお兄ちゃんではなく
実は、とっても危険な狼なんだ
姫を丸飲みして、腹の中に閉じ込めたいと思ってる
――――――極悪な狼」
目の前にいるお兄ちゃんは
実は狼
なんだかおとぎ話のような事を
お兄ちゃんは口元だけ笑って
話した
「――――ね?姫はどうする?
早く逃げないと
閉じ込められるよ?」