Bitter&Sweet
お兄ちゃんのお腹の中なら
閉じ込められるのも いいなぁ
…なんて言えないけど
お兄ちゃんが今してる話は
『赤ずきんちゃん』みたいだな
おばあちゃんがお兄ちゃんに変わっただけの『赤ずきんちゃん』
「お兄ちゃん
今日はお耳がずいぶん大きいのね」
私が赤ずきんのセリフを呟くと
「それはね、姫
姫の可愛い声が
よく聞こえるようにさ」
お兄ちゃんも 低い低い狼みたいな声でセリフを言う
「お口も……スゴく大きいわ」
そっとお兄ちゃんの唇に
人差し指をあてると
「それはね、姫
可愛い可愛い姫を
独り占めするためだよ」
……独り占め?
食べてしまうんじゃないの?
そう思った時
―――――――――ガブッ
えっ
お兄ちゃんは私の人差し指を
ガブッと噛んだ
「…わぁっ!指っっっ」
予想外の出来事に慌てて
お兄ちゃんの口から指を抜こうとしたけど
お兄ちゃんは指を歯で挟んだまま
「だから言ったでしょ?
オレはお兄ちゃんじゃなく
1番危険な狼だよ」
お兄ちゃんが話すたび
指に舌が触れて
わぁ わぁ わぁ~~~~
柔らかい濡れた舌の感触に
頭がクラクラして
心臓はバクバクした