Bitter&Sweet



一口ワインを飲むと


口の中が「もあん」とする


早い話が
私はワイン飲めないんだ



「………で?」


本郷先生は私に訊く


「ぼくに何の話ですか?」



「え?」



「姫子ちゃんがぼくの誘いにのるなんて、何か聞きたい話があるんだよね?」



「ずいぶんと勘がいいですね」



「翠には、
今日 なんて言ってあるの?」



「……小児科のスタッフと食事するって」



「………確かにぼくは小児科のスタッフだ」


クスクス笑いながら


「でも、翠はきっとナースだと思ってるんでしょう?

姫子ちゃんはお兄さんにそう思わせるように話したんでしょう?」



図星だ
バツが悪い気分になって
苦手なのにまたワインに口をつけた




前菜やパン等 初めて見るようなコース料理を食べながら



「私とお兄ちゃんはどんな兄妹だったんですか?」


さっそく私は本題に入る



「どんな?」



「だから、普通の兄妹と違うところは ありませんでしたか?」



本郷先生はチラッと私を見てからお皿に視線を移し



「さあ?どうだろうね

ただ、別々の家庭で育ったってところは確かに普通とは違うかもねぇ」




確かに
私とお兄ちゃんは名字が違う



でも、違う。そうじゃない……




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