Bitter&Sweet



結局、何も言えないまま


レストランを出た



帰りのタクシーを拾うため


大通りまで二人で歩く



私は自分のつま先に視線を落としたまま黙々と本郷先生の後ろについて行く




急にピタリと
本郷先生は足を止め


「もう一軒行かない?」



「え?」



「だって、終始ムスッとされちゃあ後味悪いって言うか

軽く飲めば、話せるかも知れないし、話せないなら話せないで楽しくお酒をいただきませんか?」




確かに なんだか高そうなフレンチご馳走になって


むっつりしたんじゃ失礼かも



「私、酔ったら寝ちゃいますよ?」



「いいよ。じゃあホテルのバーにしようか?

先に部屋とっておいて」


からかうように本郷先生は私の顔をのぞき込んだ



「セクハラで訴えますよっ!」


「ははっ。それで、いつもの姫子ちゃんだね」



なでなで
本郷先生は私の頭を軽く撫でて また歩き出した




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