Bitter&Sweet
困惑するオレの顔を
くすりと笑い新は
「はい、返すよ」
姫をオレの腕に渡した
腕に愛しい姫の重みと
温かな体温
「ああ、でも翠 間違えてる
[それ]は君の女ではない」
目を細めて新は
姫の寝顔をのぞき込み
「[それ]は君の妹。
いつまで恋人気取りだよ?
見苦しいな、翠
南は『みーくん』を知らない
翠は『みーくん』ではなく
『お兄ちゃん』でしょう?」
「…………なっ…」
「ああ、ケンカはあとにして
先に南を寝かせてきたら?」
胸が熱く、
苛立ちはピークに達してた
「とにかく帰れよ、新
そして、もう二度と
姫に近づくな」
そう言い放ち、
姫を部屋に運んだ
ベッドに寝かせ布団をかける
一緒に食事をする
小児科のスタッフ
てっきりナースだと思ってた
ぐっすり眠る姫の
ベッドの傍らに立ち
真っ暗な部屋の中
カーテンの隙間から
夜が、ぼおっと青く光る
………なんで新なんだ?
新と何があったんだよ?
全力疾走したあとみたいに
胸がヒリヒリ痛かった