Bitter&Sweet




チラッと楽くんの寝顔を見る


考えなくても わかる


楽くんは
『ママ』を欲しがってる


そして 私に期待してる……




「ずるずると会えば
その分、
受け入れられなかった時の
ショックが大きい」


雅哉さんの言葉を
目を伏せて聞いた



「その気がないなら
はっきり言ってください

だけど」



……だけど?



「お兄さんが理由なら
オレと付き合ってください」


「えっ」


「オレが忘れさせてあげます

好きじゃなくて いいから

オレと付き合ってください」




「……でも」



ドクドク ドクドク
鼓動が早まる


確かに お兄ちゃんを想っても
行き着く先はないんだ



だったら無理やりにでも
想ってくれる人のそばで
気持ちを薄めて行くしかない



でも でも やっぱり


「返事はいくらでも待ちます
また3人で遊びましょう?
……楽が喜びますから」



何も 何も 言葉が返せなかった



車の窓から見えた
燃えるような夕陽が
すごく綺麗で




  お兄ちゃんに会いたい


  お兄ちゃんに会いたい


  お兄ちゃんに会いたい




どうしようもない想いだけが
胸に募って苦しかった




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