Bitter&Sweet




疲れるんだ
美紅さんと話すと
自分がすり減って
消耗していくのが わかる



「……オレと関わるの
今日で最後にしてくれるなら」



「わかりました」



本当にわかってんのかな?
疑わしいけど
仕方なく美紅さんを車に乗せ
自宅マンションに向かった




なんで こんな事に………
そんな風に思いながら
うつむいてマンションの通路を
部屋に向かい歩くと



「………翠さん
約束してたんですか?」


ふいに美紅さんが呟いて


………約束?


「部屋の前にいるの
南さんですよね」



つま先から ゆっくり
部屋の方へ視線を上げる



…………姫




こちらを見た姫は
一瞬、すごく哀しげな顔をして



「……あ、お兄ちゃん
おかえり………」


ドクン………
一瞬 心臓が大きく音をたてた



姫の元に慌てて駆け寄り



「……姫、どうして?」


「あ……」って
一度 姫はうつむき
耳に髪をかけながら


「お兄ちゃん、お誕生日だから
お祝いしたかったんだけど」



…………姫………


「私、帰りますね。翠さん」


美紅さんの声に
姫は手をブンブン横に振り


「いいです。
邪魔したの私だから」


「姫」


「これプレゼント」


小さなギフトバッグを
オレに押し付けるように
渡して



「じゃ、お邪魔して
ごめんなさい」



姫は逃げ出すように
オレの横をすり抜けて行った




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