Bitter&Sweet



いや、違う


仕方のないことだ


オレと姫は
兄妹になったんだから……


欲望と理性が
ごった煮になりながら
なんとか冷静を装い



「美紅さんはすぐに帰ったよ」



「いいよ、嘘なんかつかなくて
今も一緒なんでしょ……」


「違うよ」


「いーよ
私には関係ないもん」


………ダメだ
叫び出しそう


オレが好きなのは
昔から姫だけだと



もちろん
そんなこと言えないけど



「ピアス、ありがとう」


美紅さんのことを話しても
いじけた姫のご機嫌は
直らないだろうし
話題を変えないと



「高かったんじゃないのか?
プレゼントなんて
別によかったのに」


「ええ、そうだね
私からのプレゼントなんて
お兄ちゃんいらないよね
ごめんね、余計なことして」



………本当に
いじけたら
手ぇつけられない


子供の頃から変わらない
オレのお姫さまだ



「用って、それだけ?
もう切るね」


「あっ、待って姫」


「なに?」


「……えっと、ほら、あれだ
お礼!そうだよ、お礼だ」


「はぁ?」


「ピアスのお礼に食事でも」


「……いいよ、美紅さんと」
「いいから、
オレは姫を誘ってんだよ」



不機嫌な姫と
強引に食事の約束をして
ケータイを切った




「はあ………」


深いため息をついて
ケータイを閉じる



………って
食事の約束なんかしたら
距離を置いた意味が……



………いや、いいだろう
食事くらい
普通の兄妹でもするさ……



……………普通の兄妹か……





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