Bitter&Sweet
………良かった、
姫が忘れてくれて
………良かった…んだよな
なんだろう
ホッとしたのに
少しイラっとくる
いや少しじゃない
かなりイラ立ってる
くそ
あのままヤっちゃえば
良かったのに
なんて最低最悪なことを
思ってる
なんでオレの気持ちを
そんな忘れるんだよ、姫
「………簡単に忘れるなよ」
唇噛みしめたオレの耳に
かすかにシャワーの音が響いた
「気持ち悪い~
食欲ない~」
ダイニングテーブルで
朝食をとるオレの向かいで
姫が突っ伏してた
「後でいいから
味噌汁くらい飲めよ」
「ん~、ありがとう……」
ゆっくり顔を上げて
髪をかき上げる姫に
心は 苦しい
大切にしたいし
幸せになってほしい
オレは姫を幸せに出来ないし
記憶がないのも
姫にとってプラスのことだ
なのに
めちゃくちゃに
壊してやりたいし
幸せなんかどうでもいい
忘れるなんてヒドイし
オレの物になってほしい
どれも本当のオレの心
支離滅裂だ
「ふぅ………」
ため息ついて
お茶をすすると
「あ」
姫が思い出したように
声を上げた
「ね、私、昨日
あの話お兄ちゃんにした?」