Bitter&Sweet
私も上半身を起こし
「だって、気になるよ
自分のことだもん
ちゃんと思い出したいし
知りたい…………」
「だから、何を知りたいんだ
オレは姫のお兄ちゃんだよ
記憶を失う前は
どうだったかなんて
今の通りに決まってるだろう
だってオレたちは兄妹だから
それ以外に何が……
何があるって言うんだ?
オレだって
日記をつけてる訳じゃない
何月何日に
姫と何してたかなんて
言えないよ」
………どうして?
お兄ちゃん
何で怒ってるの?
「……ごめんなさい……
でも、前に鈴木のお母さんが
お兄ちゃんに電話で
変な話をしてたし
お兄ちゃんだって
罪を犯したとか……」
「冗談に決まってるだろう?
何でも本気に取るなよ……」
ハァ――――――
お兄ちゃんの
深いため息が聞こえた時
すごく哀しくなった
胸がヒリヒリして
目頭が熱くなる
「なにも……
怒ることないじゃない」
「怒ってないよ
ただ、姫が………」
お兄ちゃんは目を伏せ
「姫が答えようのない
質問をするからさ………」