Bitter&Sweet
昼休み
中庭のベンチに座って
ぼんやり、風に舞い上がる桜の花びらを見つめた
久しぶりの仕事はやっぱり疲れる
お昼ご飯も食べたくなかった
「隣、いいですか?」
その言葉に視線を横にずらすと
にっこり笑うドクター
小児科の本郷先生だ
「どうぞ」
ゆっくり私の隣に腰をかけて
じぃっと私の目を見つめた
「なにか?」そう訊くと
「やっぱり似てるね」
人懐こい笑顔を本郷先生は浮かべた
「似てる?」
「翠だよ。キミのお兄ちゃん」
「え?本郷先生、兄をご存じで?」
「ご存じも何も大学からの親友だよ
翠がこの病院に来たのも
ボクがいるからだし」
えぇ
お兄ちゃんにそんな親友がいるなんて初耳
「姫子ちゃんは本当に翠に似てる
特に目
キミに見つめられたら
まるで翠に見つめられてるみたい」
「そう……ですか?」
妹の私が言うのも何だけど
お兄ちゃんはイケメン
綺麗な顔してる
そんなお兄ちゃんに私似てるかな?