Bitter&Sweet



それに……私……




「姫?」



    ドッキ――――ン



声をかけられて


気がついたら


お兄ちゃんがソファーの前に立ち



「どうした?体調でも悪いのか?」



「お、お兄ちゃん!
いつ帰ってきたの?」



ガバッと起き上がりソファーの上に正座すると



「ん?今だよ?オレが帰ってきたのにも気がつかないなんて

姫、大丈夫?病院で何かあった?」



お兄ちゃんがネクタイを緩めながら私の顔を心配そうに見つめて




―――――――――キュウ…


心臓が締め付けられるように切なくなって



「全然、大丈夫だよ」


私は目を逸らした



「久しぶりで疲れたんだろ?
今夜はゆっくり休みな」


ポンポン
優しく私の頭を撫でて
お兄ちゃんはベッドルームに入って行った



私はソファーの上


胸に両手をあて


ドキドキドキドキドキドキ


高鳴る心臓を押さえる



早く早く早く
ここから出たいの



――――――異常なキモチを消し去りたいの




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