Bitter&Sweet
大切な大切なお姫さまを
いばらの道へ誘い込める?
新の言葉が胸をよぎる
いばらの道
誰からも認めてもらえない
過酷な道
だけど、姫
オレは どうしようもなく
姫が好きだよ?
キミがもう一度
オレを選んでくれたなら
全ての棘は
オレが引き受けるから
だから
だから
「テントとかアウトドア一式揃えなきゃね……」
姫は そう言って
大きなあくびをした
口を両手で押さえて
潤んだ目で「ごめんなさい」と
上目遣いでオレを見た
「もう、寝なさい」
「は~い」
ダイニングテーブルの椅子から立ち上がり
軽く伸びをしてから姫はリビングのドアに向かった
ドアノブに手をかけ、振り返り
「おやすみなさい、お兄ちゃん」
「………おやすみ」
バタンとドアの閉まる音がして
静寂がオレを包む
ダイニングテーブルの冷めたお茶を見つめて
オレの感情は完璧に出口を見失った事に気がついた