Bitter&Sweet
「映画、面白かった?」
姫の質問に
「ああ」ってうなずいた
「胸がキュンってしたよね」
キュンって言葉が面白くて笑いながら
「ああ」ってまたうなずいた
コーヒーに口をつけたオレを
上目遣いに見て
「すごい甘い恋愛映画だったね」
「ああ」
「キョーミなかったでしょ」
「ああ」
うなずいてから しまったと思う
「やっぱりね」
姫が ため息まじりに呟いたから
「いや、そんな事ないって」
オレは慌てて否定するけど
「いいよ。無理しなくて」
姫は笑って
「今度はお兄ちゃんの観たい映画に付き合うから」
参ったな
全て わかってたわけか
「お兄ちゃんは どんな映画が好きなの?やっぱりアクションとか?」
「ん~、そうだなぁ……」
少し考えて 意地悪を思いつく
「や、いい。そんなオレの趣味に付き合ってくれなくて」
「え?なんで?」
「いいよ。姫には無理だし」
「なによぉ。付き合う。一緒に観ようよ、お兄ちゃんが観たい映画」
むきになる姫は可愛い
フッ…と笑って
「本当に付き合ってくれる?」
オレは頬杖ついて
姫の顔を見つめた
「もちろんだよ」
姫は強くうなずいて
「…で?
お兄ちゃんの観たいのは?」
オレはニッコリ笑って
「ホラー」と答えた