Bitter&Sweet
姫の表情はみるみる強ばり
「ほ、ほらぁ?」
「そ。ホラー映画。めちゃくちゃ怖いの観たいな」
姫は極度の怖がり
絶対ホラーなんて観れないのをオレは知ってる
「え~」って 困ったように うつむいた姫
姫の困った顔を見れて大満足なオレは
「いいよ。嘘だから
ホラーなんて好きじゃないよ」
「や。大丈夫!」
グッと手を握りしめ姫は
「次はホラー映画ね」
「え?本当にオレ別に……」
「ううん、ううん。大丈夫!」
どこがだよ?
顔が強ばってますけど
「その変わり、お兄ちゃん」
「ん?」
「観る時は手を繋ごうね」
――――――――ドキッ
高鳴る鼓動を抑えて
「無理しなくていいのに」
平静を装い言った
「無理じゃないもん」
フィっと顔を背けた姫が
愛おしくて
困る