Bitter&Sweet
姫と映画を見た翌日の夜
オレは糸井院長とホテルで待ち合わせをしていた
そう。とうとう、美紅さんと会わなければならない
夜景の見える42階
姫だったら貧血おこして倒れるな
(姫は高所恐怖症だからね)
重い気持ちで奥の席へ通されると
すでに糸井院長と女の子――――――――――
明るい茶髪の長い巻き髪
真っ白い肌にポッチャリした頬と二の腕
小さな丸い目
………大福餅みたい
その脂肪をヒョロっとしたうちの姫に少し分けてくれないかな
なんて思ったら 姫は怒るかな?
「遅れて申し訳ありません」
頭を下げると
「いやいや、私たちが早く来すぎたのだよ」
糸井院長が嬉しそうにオレに席に着くように うながして
「私の娘、美紅だ」
オレがチラッと見ると
恥ずかしそうに美紅さんはうつむいて頭を下げた
「鈴木 翠です」
軽く頭を下げると 美紅さんは 顔を上げて微笑んだ