Bitter&Sweet
つまらない食事と会話
オレは ずっと どうやって断ろうかと考えてた
レストランを出ると
「私は帰るが、鈴木先生、あと少し美紅に付き合ってやってくれないか?」
「え?」
「二人きりで話したい事もあるだろう」
目尻に深いシワを刻んで笑う院長の視線の先にはバーがあった
「じゃ、よろしく頼むよ。鈴木先生」
ポンとオレの肩に手を乗せ
院長は1人エレベーターホールへ歩いて行った
その後ろ姿を気まずさ一杯で見送りながら
仕方ないよな
後ろで黙ってる美紅さんに
「お酒は飲めますか?」と訊いた
「少しなら」
バーに入ってカウンターに二人並んで座る
カクテルグラスにイチゴが付いた
ピンク色のお酒を
美紅さんは何だか嬉しそうに見つめてた
さて、何か当たり障りのない
つまらない話題を振らなければ
そう思ってると
「翠さん」
美紅さんが急に口を開いて驚いた
院長がいた時は ただうなずくだけで自ら発言する事がなかったから