Bitter&Sweet
その日の夜
仕事を終えロッカーに白衣をしまうと
ケータイが鳴った
》着信 松雪 母
………なんだ?
無事に家に着いたとか
そんな連絡かな?
ピッ
通話ボタンを押し
「はい」と言った瞬間
「翠!南がいなくなったの」
―――――――――――え?
「お昼の3時には家に着いて
私が南を家に置いて買い物へ出てる間にあの子いなくなって………」
「まだ見つからないの?」
「……どうしよう、あの子
まだ記憶が戻ってないのに」
「――――――――わかった
オレ最終まだあるしそっち行くわ」
「でも、翠、仕事……」
「姫がいなくなったって聞いて
オレが何もしないでいられると
おばさん思ってるの?」
それだけ言ってケータイを切り
廊下を走り出した