キミのことが好きでした


きっと僕は

想像することを
無理に止めていました

キミとタツが
デートする様子を

キミとタツが
手をつなぐ様子を

僕には見せたことのないキミを
タツが目にする瞬間を



考え出せば
すべてが勉強の邪魔になります

試合のために
トレーニングも休めません

でもそう思うほどに
集中は途切れました



「颯、ちゃんとやってるの?」

「やってるって」



母親と扉越しに
そんな言葉を繰り返しても

椅子に座ったままの僕は
窓の外を眺めてるだけで



レギュラーの発表を
翌日に控えて

キミが僕の応援に
来てくれるということばかりが

頭から離れませんでした






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