キミのことが好きでした
切なさの理由
指の上でくるくる回る
シャープペンシルが
コトンと音を立てて
落ちるたびに
僕は慌てて
キミから視線を外します
前の年までは
こんなこともなかったのに
どういうわけか
今まで通りの気持ちで
キミを見れなくなっていました
教室の端と端
キミと僕の席は
そんなに近くありません
でもキミが
教科書を読むときは
風によく通るので
その声は僕にも
はっきりと聞こえます
時々引っ掛かると
申し訳なさそうに
照れ笑いする横顔は
ほんの少し
ぼやけます