吸血鬼と紅き石
(あ)

普段見るその表情に、リイエンの身体から力が抜ける。

(良かった、何時ものレンバルトだわ)

「…眠ィ…」

ふとそう言ったかと思えば、リイエンの肩口にレンバルトが頬を擦り寄せた。

「……え?」

急な事に付いて行けず、また瞬きを数度繰り返す。

目の前には灰色の髪。

肩口にある温もりと、首筋に掛かる吐息。

「……ッ!?」

ようやく現状、今の体勢を把握したリイエンが驚きに息を呑むと。

「…な、な何やってるのよ!」

どもりながら慌てて青年の二の腕辺りに手を置いて離れようとするも。

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