吸血鬼と紅き石
「…眠ィ、ってんだろうが」

不機嫌そうな声と共に煩いとそのまま身体を抱き竦められ。

「……え?」

先程から同じ言葉ばかりしか口にしていないような気もするが、気にしてばかりもいられない。

何しろ今は、身体を抱き込まれ、顔はレンバルトの胸に埋めさせられているのだ。

抱き締められた身体の前面から伝わる彼の温もり。

力はそう掛かっていないにも関わらず、しっかりと回された腕の重みと力を感じる。

顔を埋めた胸からは確かな心音が聞こえて来る。

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