吸血鬼と紅き石
しかもここ最近、その言動がエスカレートしている気がしてならない。

そんな己の気持ちを知ってか知らずか、髪に伸びて来るその手を払う。

「…ターニャを村に預けるとして…どこにするか、決まってるの?」

今度は自分のペースに持ち込もうとリイエンが話を本題へと戻す。

「そうだな…ここからそう遠いのも面倒だ。俺の目が届く程度の近場で、吸血鬼被害のそうない村――ダヤンはどうだ?」

「ダ、ヤン?」

聞き覚えのないその村の名前を、リイエンが繰り返す。

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