吸血鬼と紅き石
リイエンの肌を傷付けないように、と考慮されているのか、先が丸く削られたその石は確かに何かの牙に見える。

「レン、バルト、これ…」

その顔を見上げ、これは何かと問い掛けるリイエンに、レンバルトは片口端を引き上げ。

「お守りだ」

短く、そう告げた。

「お、守り…?」

自分の言葉を繰り返すリイエンに、そうだ、とレンバルトは頷く。

「絶対にソイツを無くしたり、外したりするなよ?」

そう忠告されて、訳の分からないままにリイエンは頷く。

「良い子だ」

最近お決まりになっている言葉と共に、優しい手付きで髪を撫でられた。
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