吸血鬼と紅き石
もう、とリイエンはレンバルトの言葉と態度に僅かにむくれてみせる。

何だか毎回、この態度でうやむやにされている気がしてならない。

そんなリイエンの様子にレンバルトが小さく笑った。

「いずれ分かるさ」

そう言われて、今度は乱すように髪を撫でられて。

背を向けて去って行くその長身を見送ると、もう一度手にしたままのネックレスに視線を落とす。

良く分かっていないが、何か大切だという事が伝わったその『お守り』から手を離し、リイエンはターニャの様子を見る為に、己も自室へと足を踏み出した。

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