吸血鬼と紅き石
「はいはい…分かりましたよ、お嬢様」

リイエンのその視線に、黒髪の人間に化けたレンバルトが大仰に肩を竦める。

「…レンバルト!」

ふざけたような態度にリイエンが窘める為に彼の名前を呼べば。

目の前で長い人差し指が形の良い唇に当てられた。

「静かにしろ、って…。ガキが起きちまうだろうが」

告げられた言葉に、リイエンが大人しく口を噤む。

隣をそっと見れば、疲れたのだろうターニャが彼女に凭れて眠っていた。

その様子にホッ、と安堵の息を吐く。

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