吸血鬼と紅き石
出方が分からない以上、従っておこうという事かと理解して、リイエンは自然と肩に入っていた力を抜く。

「さあ、あなたはこちらへ」

そんなリイエンの腕をターニャを家に受け入れてくれるという中年女性が掴み、半ば引きずるようにして席を立たせた。

その手首が痛む程の強い力に、リイエンが慌ててレンバルトを見れば、彼もやたらと体格の良い二、三人の男にその身を囲まれるようにして案内されているようだった。

(大丈夫…だよね?)

じわり、と胸に湧き上がった不安を打ち消すように、彼女の胸元でチャリ、とレンバルトに渡されたネックレスが鳴った。



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