吸血鬼と紅き石
「どうして…」

これがここに、と呆然と呟くリイエンの耳に、扉を鋭くノックする音が耳に入った。

それに思わず身体を震わせれば、返答を待つまでもなく扉が外側から開かれる。

リイエンは無意識に石をもう一度ポケットに隠した。

「あ…」

開かれた扉の向こう、そこにいたのは村長だった。

何となく安堵するリイエンの胸に、同時に違和感も湧き上がる。

朝までここで、とほんの先程部屋に通されたばかりなのに、何故村長が現れるのか?

タイミングからも、まるで自分が逃げずにきちんとここにいるのか、確認するように。

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