吸血鬼と紅き石
「何かお困りの事は、ございませんか?」

手にした蝋燭の炎の揺らめきに、老いぼれた顔が照らされる。

その顔から何やら緊張なのか恐怖なのか、良く分からない威圧感を感じて、声も出せずにリイエンはただぎこちなく頷いた。

「あなたに、見せたいものがある」

言外に着いて来てくれ、と促されてリイエンは迷いながらも、向けられた小柄な背中を追うことにした。

ここはこれからターニャが暮らす村だ。

不審を抱いても荒立てず、穏便にやり過ごす方が得策、と判断したのだ。

灯りのない暗闇を、年老いた背中を見つめてただ進む。

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