吸血鬼と紅き石
薄暗い炎の中、浮かび上がったのは今日宴に参加していた村人達の顔。

動かせない首の代わり、視線を左右に動かせばどうやら己を拘束しているのは、屈強な男の村人らしかった。

どういうことだ、と困惑する頭で、リイエンはもう一度目の前の顔達を見つめる。

皆、何かに取り憑かれたような、狂気に満ちた目をしているのに気付いて、背筋に悪寒が走った。

「ふふふ…間違いない。金の少女…あの吸血鬼の言葉通り、紅き石の持ち主だ」

老人の言葉に、リイエンは目を瞠いた。

この目の前の人物は、自分が紅き石の持ち主だと、何故知っているのだ。

そしてそれを教えた吸血鬼とは、一体―――



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