吸血鬼と紅き石
そう、嘘を言っていない事など、目を見れば分かる。

レンバルトも、きっとそうだ。

あの言葉も態度も、きっと全てが真実だ。

(だって、あの眼差しを思い出せば分かる)

もしも今回の事が、レンバルトが仕組んだ事でも構わない。

嘲られて、罵られても、彼にならば良い。

「レン、」

「確かに女の言う通りだ」

レンバルトを呼ぼうとしたリイエンの声を遮って、新たな声が割り込んだ。

背後に、人のモノではない気配。

肩を揺らして、口許が解放されたお陰で自由になった首を巡らせたリイエンの目に、黒髪の青年が映る。

人を超えた美貌、感じる悪寒、そして何よりその身を包む、彼が人ではないと示す、黒いマント。

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