吸血鬼と紅き石
(元から…死んで、いる?)

どういう、事だ。

「…リイエンから手を離せ」

そこに新たな気配と共に声が割り込む。

(レン、バルト!)

ここへ来る時に姿を変えていた黒髪黒瞳の姿ではなく、元の銀髪銀瞳の、吸血鬼だと示す、彼の姿だ。

その姿に、リイエンは知らず安堵を覚える。

「フフフ…来たな、レンバルト」

リイエンの腕を掴んだまま男が嗤う。

「そういうお前はようやく姿を現しやがったな、ザーディアス」

不機嫌を隠しもせずに、レンバルトが男をねめつける。

その目が更に、不機嫌に歪められた。

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