吸血鬼と紅き石
(あ)

そこにあったのは、黄金の、瞳。

あの瞳は。

『リイエン』

穏やかに自分を見つめる、愛しい父のものであった筈なのに。

どうして、何で。

先程覚えた既視感の理由に、足元から指先、心臓までもが凍りつく。

「…どうして」

この男が父の目を?

掠れた声で問い掛けたリイエンに、その腕掴んだままの男が厭らしく嗤う。

「リイエン!」

「なァに、簡単な事さ。俺がオルフェルトを殺したんだ」

問い掛けに返る男の声と、レンバルトの聞くなと己を呼ぶ声が交錯する。

だが聞こえてしまった男の言葉に、リイエンは呆然と目を見開く。

『俺が、オルフェルトを殺した』

脳裏に浮かぶのは、凄惨な父の死体と、優しくたおやかな父の姿。



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