吸血鬼と紅き石
リイエンの中に湧き上がるのは紅蓮の炎。

そんなリイエンの瞳を、表情を見て満足そうに男が唇を歪めた。

「ククク、そんなに俺が許せないか?」

尋ねて来るのは、心底愉しげな声音。

「当たり前よ!」

叶う術など微塵もないのにも関わらず、きっぱりと言い返すリイエンに男がクツリと喉を鳴らした。

「愉快な女だ。この俺に叶う訳もないのに、何故そこまで粋がる?」

リイエンは男の問いには答えず、ただひたすらその顔を睨み付けるのみ。

「…ったく、強情なガキだ。オルフェルトとお前が暮らしていた貧相な村のクズ共の方が面白みがあったかもしれん」

男の新たな言葉にリイエンは更にその顔を睨め付ける。

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