吸血鬼と紅き石
ザーディアスはそんなリイエンを見て、大仰に肩を竦めてみせる。

「この力の差を見せつけても、まだ反抗する気か?」

その余裕を感じさせる態度とは裏腹に、その黄金の瞳は苛立ちに細められていた。

「馬鹿は馬鹿で見ていて面白いものだが――――いつまで経っても身の程をわきまえぬ馬鹿はつまらんものだな」

悠然と腕組みをしたザーディアスがリイエンを見つめる。

その不機嫌露わな瞳にも圧し負けず、リイエンが自分を睨み付けて来る事に気付いた吸血鬼は、何か思いついたようにふと軽く目を開いた。

「そうだ…煩い羽虫には少しばかり思い知らせてやらぬとな……。その身に痛みでも覚えれば静かになるだろう」

名案を思い付いたとばかりに、男が言葉を続ける。






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