吸血鬼と紅き石
「心配せずともそれだけで死んでしまう事はないだろう?お前ら人間とやらはしぶといからな…腕や足の一、二本もがれる位は平気だろう」

すぐに殺してしまってはつまらないからな、とザーディアスは笑う。

人というものを軽く見ている言葉には、やはり怒りしか覚えない。

「お前達のいた村――あそこの人間どもも中々しぶとかったな。血を啜り、臓腑を抉ってもまだ動いている奴もいたからな」

その時の阿鼻叫喚を思い出しているのだろう、男の瞳が愉悦に揺らぐ。

リイエンの脳裏に優しくしてくれた村人達の顔が思い浮かんだ。

何の罪もない人々に降りかかった理不尽に、きつく拳を握る。




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