吸血鬼と紅き石
「そうそう、一番面白かったのはやはりガキどもだったな。何度も跳ね飛ばされるのに私に纏わりついて、親兄妹を目の前で一人ずつ殺してやった時のあの顔といったら…」

愉しくて仕方がないと、元は美しかった黄金の瞳がリイエンの知らない嘲笑に染まる。

聞かされた凄惨な事実に少女の翡翠の瞳が呆然と見開かれた。

あまりの怒りに握り締めた掌に爪が食い込む。

(…許せない…)

どんなに辛かったろう、痛かっただろう…その光景を聞いただけの自分も、心が裂けてしまうようだ。

(この男は、絶対に許せない)

たとえ敵う力などなくても、そんな酷い事、許せる訳がなかった。





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