吸血鬼と紅き石
「あんた…なんか」

リイエンの声に気付いたように、ザーディアスが再び彼女に目を向ける。

「あんたなんか最低だわ!」

身を包む怒りのまま、リイエンはザーディアスに言葉を浴びせかける。

「…父に恥をかかされた、とか言っていたけど、単に逆恨みじゃない!そんな卑怯な精神じゃ、父に負けるのも当然だわ!」

目の前の吸血鬼を睨み付けたまま言い切った少女は、更に言い募ろうと唇を開く。

「そんなんじゃ、絶対にレンバルトにも勝てっこな、……ッ」

かの灰霧の王にも敵う筈がないと言い切るつもりの言葉が、突如目の前に現れた影に途切れる。

「…黙って聞いてりゃ、小娘が…」

その影はザーディアスだった。


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